スコリモフスキの身分証明書

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楽しそうな現代の若者像(私です)

今WOWOWでスコリモフスキ特集をやっているので、映画好きなら観ておいたほうがいいかナ?と思い録画、まずデビュー作の「身分証明書」から観てみました。映画大学の卒制として発表した自作自演の作品ということで、実験的で商業的ではまったくないので、ただの映画好きであるところの私には「ほぅ…なるほど…」としか言えませんでしたが、「あー、スコリモフスキ?やっぱ観てないと?映画好きとは言えないし?みたいな?(ドヤ顔)」と言いたくなる機会が将来あるかもしれませんので、観ました。

「身分証明書」を観終わって思ったのは、カサヴェテスの「アメリカの影」やヌーベルヴァーグの作品群でよく見た、当時の若者像と実験的な映像手法と同じだなということです。そういえばこの「身分証明書」は64年、「アメリカの影」は60年というように、ヌーベルヴァーグ真っ只中の作品で、共通するものがあるのは当然といえば当然なのかなと思いました。

そんなわけでこの映画では、焦燥感や不安感を抱えつつプラプラしてる(当時の)今時な若者が描かれているのですが、そういうのを見ると私はすぐラスコーリニコフ展開*1を期待してしまいます。舞台がフランスだとほぼ恋愛に走りがちですが、東欧やロシアだとすぐラスコーリニコフだと思ってしまいます。映画にはついドラマティックな展開を期待してしまう、ハリウッド脳かつドラマティック脳におかされているせいです。小じんまりとした日常を描く良作もたくさんあるし好きですが、ついつい刺激を求めてしまう傾向にあります。そんな脳なので、このような作品に対しては「ほぅ…なるほど…」としか言えなくなってしまうわけです。あと今時の若者像にあまり興味がないとか、やっぱり娯楽作品として見せてくれるサービス精神が好きだとか、そういう理由も。(だからキューブリックタランティーノが好きだし、B級アクションやホラーが好き)

でもまあとにかく、このデビュー作からどのように洗練されていくのか観ていきたいと思います。

*1:罪と罰