ツリー・オブ・ライフ

観てきました。とても愛にあふれている映画で、映像も美しいし、劇場で観てよかったなーと思います。ネタバレするしかできないので閉じます。

冒頭、最愛の息子が死んだ!と一気に物語が流れだすのかとおもいきや、流れだす方向が完全に精神世界。神への問い掛けから始まるので、ついジーザスキャンプを思い出してしまう。さらに、「うっちぅが誕生したと…いうのか!?」「ぼくは…てつお……」みたいなのが延々ながれ、最近劇場で映画をみるとパニック障害の発作がおきかけることが多いのに、あまりの癒し映像によって発作の気配がすぐ引っ込んだくらいだった。

そんなかんじで繰り広げられる生きもの地球紀行映像に、映画CMで父と息子の葛藤的な話と勘違いして来場した観客の動揺は大きく、恐竜がでてきたあたりで辛抱たまらず話しだす熟年夫婦たち。なんていうか「2001年宇宙の旅」っぽい置いてきぼり感がある。ただ、2001年のそれと違い、有無をいわさぬ神の愛に包まれている感はあった。登場人物は敬虔なクリスチャンだから神に対してずっと問い続けているし、唯一の創造主である神についてこの映画では描いているのだろうけど、自然界のすべてに神がやどるという感覚はキリスト教徒でなくとも理解できるし実感できる。まあ、ヨブに関しては*1、キリスト教徒ではない私にしてみたら、善良すぎるほど善良なヨブをいじめていじめていじめぬいて信仰心をためす神というのは悪魔と変わらないのでは…と思ってしまうのだけど。

で、そんな映像がおわったあとようやく子どもたちが誕生し彼らを愛する両親の描写があって、これがまたすごく愛にあふれていて幸せな気持ちにさせられる。厳しくたくましい父親(ブラピの下顎を出した顔がすごい感じ出てる)と少女のように可憐でいつも愛情を注いでくれる母親の姿、長男の思春期の描写、葛藤する長男と天使のような次男。どれも良かった。弟が「兄さんを信じてる」というシーン、エアガン事件後に兄が謝るシーン、そして父親が長男と向き合って謝るシーンは特に泣けてしまって、ここ最近の映画の家族愛の描き方で一番ぐっときた。私の父も理不尽な感じの厳しさで子どもに接するタイプで、存命中はほとんど話したことがなかったので、あの和解はちょっと羨ましくなった。

そして、幸せも困難も悲しみもすべてなすがままに受け入れ、「世俗に生きるか神に委ねるか」*2で神に委ねたラストは、ヨブのようでありイエスのようでもあり、キリスト教徒なら誰もがたどり着きたい境地のように思えた。


次男ブラピそっくり!かわいかった〜

*1:劇中ヨブ記が題材につかわれている

*2:冒頭